江戸末期、北方探検家の最上徳内は、国後島で初めて流氷の接岸を目の当たりにし、その驚きを次のように書き残しています。
「日本海には無き事なれば、思量(慮)に餘りて茫然たり」また、「土地の夷人及び水主の夷人等、氷より氷に飛び越し飛び移りて、遥かに沖に出でアシカ、アザラシを活捕る事夥し」

 一日にして紺碧の海が白い流氷で覆われ、その流氷の上をアイヌの人たちが飛び移りながら猟をする姿に、唖然となった徳内が想像できますね。

流氷をアイヌ語では、アプ(apu)といい、歯舞諸島の歯舞はアプオマイ「apu-oma-i(流氷・ある・所(島)」という意味を持つアイヌ語地名です。

2014/2/14号掲載