あ行

オシドリ

まだ冬枯れの色が残る釧路湿原ですが、夏鳥が渡ってくる季節になりました。
色鮮やかなオシドリも渡ってきましたね。この鳥のアイヌ語は「(川魚の)イトウと泳ぐ鳥」の意を持つチライマチ「ciray-ma-cir(イトウ・泳ぐ・鳥)」。
全道でそう呼ばれています。オシドリが「イトウと一緒に泳いでいるよー」と、アイヌの人たちにイトウの遡上を知らせたんですね。
別寒辺牛湿原を流れるチライカリベツ川(イトウが回遊する川)では、オシドリと一緒にイトウが泳いでいるのでしょうか。想像すると嬉しくなりますね。

大島川


釧路湿原を流れる大島川。かつてのアイヌ語の川名があったはずと、友人の言葉に促されて古い地図を調べてみました。昭和5年に大日本帝国陸地測量部が発行した五万分の一地図に載っていました。「アトイシヤラカ川」と。湿原のほぼ真ん中で幌呂川と合流していますね。「アトイシヤラカ川」をアイヌ語
の意味に充てると「アトゥイ・サラ・カ・ペッ(海・湿原・の上・川)」。
海と湿原の上にある川。意味と地形がぴったり合いますね。
アイヌ語地名、すごい!なぜ「アトイシヤラカ川」から「大島川」に変わってしまったのでしょうか?とても残念ですね。

オンネナイ川

釧路湿原に流入しているオンネナイ川。「オンネ」はアイヌ語で「年老いている、大きい」などと訳されますが、どちらかというと細い川で訳に困る川名でした。
更科源蔵著『アイヌの神話』の中で「オンネナイ(年老いた川)とは、水源が深く(長生きした)、子供か孫のような支流のある川であり」と書かれていました。川の距離が長いので長生きしている、年老いた川と考えたアイヌの世界観があってつけられた川名だったのですね。
ちなみに、明治30年の古い地図では幌呂川と並んで雪裡川に流入しています。
今よりも長く、赤沼はオンネナイ川に付いていた沼だったのですね。

オオハナウド

オオハナウドは、アイヌの人たちから「神の山菜」と言われ、人間が儀式をするために天から降ろされた大切な山菜と言われています。この花は、花をつけるまでに4~5年かかるそうですが、アイヌの人たちはまだ花の咲かない若い葉柄を食料にしました。
アイヌ語では、全道どこでも「ピット」と呼ばれています。甘味があり、煮ることによって臭いもなくなるそうです。生で食べたり、焼いたり、煮物(ラタ)にして食べました。大量に採取できることから、乾燥させて保存食料にもされました。
オオハナウドの白い花が咲き始めました。もう、夏が近いのですね。

オオバナノエンレイソウとエンレイソウ

「森の貴婦人」とも呼ばれるオオバナノエンレイソウが咲き始めましたね。 アイヌの人たちは、オオバナノエンレイソウも紫色のエンレイソウも、どちらもエマウリ「emawri(果実)」と呼んでいます。花ではなく、食料になる甘い果実につけられた名前だったのです。美幌や屈斜路では、角ばってごつごつしているオオバナノエンレイソウの実を、ピンネエマウリ「pinne-emawri(男である・果実)」。丸くてすべすべしているエンレイソウの実を、マッネエマウリ「matne-emawri(女である・果実)」と呼んだそうです。 アイヌの人たちの植物につける男と女の命名法、納得ですね。