な行
シソ科のナギナタコウジュは、アイヌの人たちが飲むハーブティーの代表格で、アイヌ語では、エントウセイ「ento-usey(ナギナタコウジュ・お湯)」と呼ばれています。
風邪をひいたときや二日酔いのときで食欲がないときは、出来上がったお粥の中に茎葉を入れ香気高いエントサヨ「ento-sayo(ナギナタコウジュ・粥)」を作りました。
アイヌの人は、たださわやかな香りを楽しむだけではなく、ナギナタコウジュを体に入れることで、臭いのきついものを嫌う病魔を遠ざけるという意味もあったようです。
道端でも見られるナギナタコウジュ、陰干しにして「エントウセイ」を作ってみませんか?
2014/9/12号掲載
アイヌ語で2月に降る雨のことを、釧路地方では、キムンカムイポソシケ
「kimunkamuypo-soske(クマ神の子ども・はがれる=産湯)」=「ヒグマ(神)
の赤ちゃんの産湯」と呼び、沙流地方では、キムンカムイポフライエプ(ク
マ神の子どもを洗う雨)と呼んだそうです。
冬眠中のヒグマが穴の中で赤ちゃんを産むのもこの時期で、2月に降る雨を
クマ狩りの目安にしたのだそうです。狩人にとっては雨の後の寒波で堅雪に
なった山は歩きやすく、授かった小熊は生きたままコタン(村)に連れて帰り
ました。1~2年大切に育てた後、盛大にイヨマンテを行い、クマ神の魂を神
の国に送りました。
2013/2/8号掲載
赤いナナカマドの実に、真っ白い雪が載っている景色は一枚の絵を思わせますね。
7度かまどに入れても燃えないというこの木。アイヌの人たちは冬猟のとき、
踏みつけた雪の上にナナカマドを並べ、その上で焚き火をしたそうです。
ロストとして使ったのですね。
アイヌ語でナナカマドは、多くの地方でキキンニ「kiki(防御)ne(になる)ni(木)」と呼ばれ、
特有の臭いが病魔を追い払ってくれると考えられていました。
風邪などの病気がはやると、戸口や窓にこの枝を立てたりしたそうです。
2009/12/24号掲載