や行

雪をアイヌ語ではウパ(upas)と呼んでいます。
アイヌの人たちは天上に雪を降らせる神がいて、雪べらを使って雪を下に落とすから下界で雪が降る、と考えたそうです。
阿寒地方では何日も雪が降りやまないと、晴天の日に生まれた老婆が雪を叱る呪術を行ったそうです。
人間が神を叱るというのはアイヌの世界観ならではですね。
ウパ(雪)の付く言葉はたくさんあり、トドノネオオワタムシは「ウパ(雪)キキリ(虫)」、初雪が降る頃に里にやって来るシマエナガやヒヨドリを「ウパ(雪)チ(鳥)」と呼んでいます。
ちなみにダイヤモンドダストは「クルッペ(霜)イメ(光)」と千歳では呼ぶそうです。

2015/2/20号掲載 

ヤブマメ

「大きなヤブマメ でっかいヤブマメ 私に飛んで来い」と、ヤブマメのカムイに呼びかけるように歌いながら、アイヌの女の人は残雪の消えた枯れ草原でヤブマメ掘りをしました。

ヤブマメの地中果はアイヌ語で、アハとかエハ、釧路地方ではヌミノカン「numi(その実)nokan(小さい)」とも呼ばれ、食料が乏しい雪解け頃の貴重な食料でした。
大豆属と近縁だという地下で結実した1cmほどのその実は、栗のようにホコホコしてとてもおいしく、煮て油をつけたり、穀物の飯に混ぜて炊いて食べました。収穫時期は初春と晩秋の2回ですが、土の中でひと冬越した初春のほうがおいしいそうです。

2014/4/11号掲載

ユキトビムシ

ゴマ粒よりも小さいユキトビムシ。温根内軌道跡の雪の上でピョンピョン飛び跳ねていました。
春をもたらすこの虫をアイヌ語では、ウパニンカ「upas-ninka-p(雪・消す・もの)」とか、ウパルレ「upas-rure-p(雪・とかす・もの)」と呼んでいます。確かに、数多でうごめく黒い姿は融雪剤の効果があるのかも知れません。春を待ちわびていたアイヌの人たちは、このユキトビムシを見つけると、きっと笑みを浮かべたことでしょうね。
ちなみに、雪を運んで来るといわれる雪虫(トドノネオオワタムシ)と、春を運んで来る雪虫(ユキトビムシ)は、全く別の種だそうです。

2014/3/14号掲載

ヨシ

秋になるとアイヌの女性たちは、ヨシを刈りに行くのが重要な仕事の一つだったそうです。
列をなし、歌を歌いながら刈ったそうです。

ヨシはチセ(家)の屋根や壁、すだれに利用される大事な建築用材でした。ヨシの壁は
低気圧が来ると、茎の中の空気が変化して音を出すので、天気予報になったそうです。

アイヌ語でヨシのことをサキ「sar-ki(ヨシ原・稈)」と呼び、サ(=サ)は
ヨシ原や湿原という意味です。

ヨシ原があった所は、去来牛・佐呂間・更別・猿払など、多くの地名に残されています。

2012/10/05号掲載

ヤチダモ

かつて、古代人にとっての道は川でした。移動手段の乗り物は丸木舟。その材はカツラ・
ヤチダモなどだそうです。カツラの舟は軽く、ヤチダモの舟は少し重いそうです。

ヤチダモは、アイヌ語ではピンニ「pinni(ヤチダモ)」と呼び、旭川ではヤチダモの木で
舟を作ると豊漁に恵まれる、というアイヌの人たちの言い伝えがあるそうです。釧路湿原の
周辺にたくさん生えているヤチダモも、大木は丸木舟として利用されたのでしょうね。

まっすぐ伸びるヤチダモの若木は、丸木舟の棹(櫂)として利用されました。釧路町にある
地名「鳥通」はアイヌ語で、「turi-tuye-us-i(舟の棹・切る・いつもする・処)」の意味だ
そうです。

2012/8/3号掲載