か行

カワガラス

渓流などで見られるカワガラス。この鳥をアイヌの人たちは、位の高い神として扱ったようです。川の神の使いとして、魚のいることを人々に知らせる神。また、雄弁さを持つ神といわれています。屈斜路ではアイヌ語でホルンカッケウカムイ「hor-un-kakkew-kamuy(水・にいる・?・神)と呼ばれ、水辺にいる鳥の中で最も大事にされ、シマフクロウやエゾフクロウと同じように酒をあげるそうです。
知里幸恵著『アイヌ神揺集』にもカワガラスが出てきます。「katken…川ガラス。
昔から大そういい鳥として尊ばれている鳥です」との説明がありました。
物語の内容も面白かったです!

ケネチャラシベツ川

網の目のように釧路湿原の中を流れている川の一つに「ケネチャラシベツ川」があります。
この川は湿原の中の伏流水と丘からの水を集めて、湿原の中であらためて生まれた川だそうです。
松浦武四郎は、「ケ子チヤロウシベ―此処小川也。…赤楊川口に多く有ると云う儀也」と記録しています。赤楊とはハンノキのことで、ケネチャラシベツの語構成は、「kene-car-us-pet(ハンノキ・川口・群生している・川)」。かつては川口にハンノキが群生していたのですね。
アイヌの人たちが薬や赤色の染料として用いたハンノキ。アイヌ語名「ケネ」の地名は、剣淵、毛根など各地に見られます。

カツラ

紅葉が始まると、甘い香りと鮮やかにに黄葉したカツラの葉が、夏には気がつかなかったその存在を知らせてくれますね。
カツラのアイヌ語は全道で「ランコ」と呼ばれ、語源ははっきりしないそうですが、その巨木で舟を作りました。カツラで作った舟は軽くて、よく走るのだそうです。細工にしやすいカツラは舟だけではなく、臼やお盆、小刀の鞘などの日用道具も作ったそうです。空洞になった大木は、風雪を防ぐ狩人の野営場所にもなったそうですから、アイヌの人たちにとって、いろいろ役に立った木だったのですね。
地名にも、蘭越「ranko-us-i(カツラ・群生する所・所)」などが残っています。

カワセミ

数年前、ペカンペ採りに達古武湖に行ったとき見たカワセミ。湖を見つめながら背中の鮮やかなコバルトブルーを見せてくれた後、向きを変え胸のオレンジまで見せてくれました。
屈斜路湖では「ソカイカムイ」と呼ばれていますが、塘路ではチェパッテカムイ「cep-atte-kamuy(魚・群がらせる・神)」と呼ばれ、カワセミが飛んで行くところに魚がいるといって、回転銛を持って川に行ったそうです。
また、屈斜路では昔、カワセミが突然川に突き刺さったかと思うと、1mもあるイトウが舟の近くに浮かび上がり飢餓から救われた、という言い伝えがあるそうです。
美しいカワセミは魚を与えてくれる神だったのですね。

ガンコウラン

アイヌの人たちが染色の材料に使った植物はいくつかありますが、その一つがガンコウランの果実です。江戸時代の記録に、この実で染めた衣装を見た幕府の役人が「色合い至って見事にて、やはり江戸紫のごとし」と書き残しています。
染色方法は果実と糸を口の中に含み噛んで染める方法と、果実の皮を水につけその浸出液で染める方法だそうです。
ガンコウランの実をアイヌ語では、「イチキマイマイ(それを絞って汁を出す丸い粒)」とか、樺太(サハリン)ではクラノ「kurasno-p(黒い・もの)」と呼ばれました。
釧路湿原では、ガンコウランの実が食べごろの紫色になってきましたね。