釧路湿原周辺の散策中に出会ったオニノヤガラ。
開花寸前の立っている姿は、まさに矢柄ですね。
アイヌ語名は、そろって姿を消すものの意味を持つ、ウニンテプ「u-nin-te-p(互い・消え・させる・もの)」。アイヌの人たちが食料としたのは塊茎で、煮たり焼いたりして食べたそうですが、結実したあとは上部も塊茎も消えていくので、そのような名がつけられたのでしょうか。
松浦武四郎の『石狩日誌』の中で、「これはアイヌのサツマイモなり」とオニノヤガラの塊茎を焼いて武四郎に勧めたと書かれています。また、更科源蔵の『コタン生物記』では、「一日探せば背負いきれないほど集まったという」とあり、かつての北海道の大自然が想像できますね。

2014/7/11号掲載