2011年11月

トド

 冬季、北海道沿岸に来遊してくるトド。昔は北海道にもたくさん来ていたらしく、トド岩、トド島という地名があちこちに残っています。
アイヌ語ではエタペ「etaspe(トド)」と呼ばれ、各地に物語が残されています。
アイヌの人たちにとっては食料としては勿論、調味料になるトドの油。ヒシの実や、クロユリ、ウバユリなどの根を入れたご飯には、必ずこの油を入れたそうです。
東釧路貝塚からはトドの骨が見つかっており、縄文時代から食べられていたことが分かりますね。
釧路博物館にあるトドの剥製は、全長3.2mもあるそうですよ。
2011/11/25号掲載

フッキソウ

 アイヌ語で、「シカが群れる草」の意味を持つフッキソウ。一般に、ユトパキナ
「yuk-topa-kina(シカ・群れる・草)」と呼ばれています。
今年、92歳を迎えた白糠のエカシは「フットマキナ」と教えてくれました。美幌、
屈斜路でもそう呼んだと記録にあります。

神経痛に効くといって、年寄りから頼まれて採ってくると、束ねたフッキソウを五右
衛門風呂に入れ、昔の年寄りたちが入っていたそうです。また、真珠のようなその
果実を「その実がうまいんだ」ともエカシは教えてくれました。

いろいろな病気に効く薬草ですが、シカはフッキソウを食べないのだそうです。

2011/11/11号掲載